好きで


好きで



大好きで…








ちょっと
愛し方を間違えた









只それだけ








それだけなのに…








どうして
お前は








俺から
離れていくのだろう――…












*・゜Love is bilnd゜・*














「ゃっ、先ぱっ…!も、許してっ…。」


…放課後の教室。

切原は仁王に両腕をネクタイで縛られ、徐に両足を目一杯広げさせられていた。

引き裂かれた服は、ボタンが飛び、何とも無惨な格好となっていた。


「許して?…元はと言えばお前が悪いんじゃろ。」


一つ、平手打ちが飛ぶ。
切原の咥内に鉄錆の味が広がる。

口元からは、唾液と混ざり合った鮮血が流れた。
涙が数滴頬を伝る。


「っ、も……ヤダっ…。」


…何故こんな事になったのか。

それは、今から数十分前に遡る。










「え…?先、輩?これ、何の冗談…?」


突然、切原は教室で丸井に押し倒された。


「冗談?冗談なんかじゃねぇよ。それくらい分かんだろぃ?」

「や、ヤダ!先輩っ、止めてっ!」


丸井は嫌がる切原の両腕を片手で押さえつけ、空いた片手で着々と服を脱がせていった。


「っ…ヤ、ダっ…止めって…。」


行為中。
切原の嗚咽の混じった喘ぎ声は、教室中に煩く響きわたった。









「…良い様じゃのぅ、赤也。」


行為後。
切原が着替えを済ますか否かの境目に、タイミングよく仁王が姿を現した。

タイミングよくと言うよりは、悪くのが正しいのかもしれないが…。


「に、仁王…先輩…。」
「また…仕置きが必要のようじゃな。」


『仕置き』と言う言葉に、ビクッと切原の肩が上がる。


「………。」


同時に仁王は切原を力任せに押し倒した。


「…っ…。」


思わず切原は顔をしかめた。

しかし仁王は容赦なく切原の服を引きちぎる。


「ゃ、嫌っ…!」

「嫌もなにもお前に選択権はない。…セーラームーンも言ってたじゃろ?悪い子にはお仕置きよって。」

「そ、なっ…。」


俺は半場泣きそうな気持ちでいっぱいだった。

俺は精一杯抵抗した。

なのに丸井先輩はそれを無視して、そのまま行為を続けてきた。

俺は悪くない。
何も悪くないのにっ…。








こうして今、現在に至る。

仁王先輩は折檻と題して、俺を思う存分犯し、力の限り殴り貶した。


「………。」


…最初はこんなじゃなかった。

初めの頃の仁王先輩は、凄く優しくて、それでいて妙に寂しそうな笑い方をする人だった。


でも今は、酷く冷たく、常に高笑いを欠かさない人へと変貌してしまった。





昔の…






俺の大好きだった
仁王先輩は







一体






何処へと消えてしまったのだろう――…











その夜。
俺は不意に町中へと飛び出した。

そして、とあるビルの屋上へと足を運んだ。


「………。」


…そっと、策内から下を覗いてみる。

すると、ヒューヒューと乾いた風が音を立てながら、俺の肌を冷たく撫でた。

その風は妙に冷たくて、少しばかり肌が痺れた。


そして、飛び降りようと策を掴んだ。

…一歩、あと一歩を踏み出してこの策を飛び越えれば、俺はここから解放される。

あの辛さや、苦しみから。

全てから、
解き放たれる――…。


「…っ…。」


でも、
どうしても足がすくんで動かなかった。


…この時、俺は『死』を怖がる者達と、同じ気持ちだったのかもしれない。


今副部長に会ったら何て言われるかな。

『死んで花実がなるものか』とか?


…もう幸せなんて、
俺にはないかもしれないのに。


「っぅ……ふ、っ…。」

そのまま俺は泣き崩れた。

やるせなくて、やり切れなくて。

死にたいのに、死ねなくて…。


思わず涙が溢れた。


俺は一体、

どうしたら
いいんだろう――…。










「…ちゃんと来たな。」

次の日の放課後。
切原は、いつもの如く仁王に呼び出されて、部室へと来ていた。

…そして、いつもの如く飛び交うSex。

力任せで無理矢理な、心無き行為。


…切原は、
何度、限界を越えただろうか。


「ねぇ先輩…もうこんなこと、止めましょうよ。」


行為後。
切原はフ、と仁王に呟いた。

すると、仁王はその言葉にピクリと反応を示し、ゆるりと切原の方に振り返った。


「…何じゃ、まだ足りないってか?」


仁王は切原の顎を思い切り掴みあげる。

しかし、当の切原は表情一つ変えず、只仁王をそっと見据えるだけで…。

「くっ…何で怯えないっ。俺が怖くないのか?何するか分からねんだぞっ!?」


もっと怯えろ。

もっと怯えて、俺を恐がれっ!

そして俺に、
最大の憎しみの眼差しを
とことん、
とことん、

送ってみんしゃいっ!!

俺は心の中で叫び散らした。

コイツの泣き叫ぶ様をたっぷりと見たかった。


…なのに、コイツは恐れるどころか、眼を逸らすでもなく、只坦々と俺に言い放った。


「アンタが何回俺を抱こうと、俺はアンタの物にはならない。」


…俺の心も体も、全て俺の所有物。

そう簡単に渡しはしない。


「んな事言って…また仕置きされたいわけ?」


すると、仁王先輩は俺の身体を壁に押し当て、首元を掴んで、勢い良く左手を振り上げた。

でも俺は何の抵抗もせず、只そっと目を閉じていた。


「殴りたきゃ殴りゃいい…。」

「っ、の…くそがっ!」

左手が振り降ろされる。
瞬間、切原は仁王にある言葉を吐き捨てた。


「でも俺は…。」












決して

アンタを









愛しはしない――…。












「………!!」


そのまま仁王先輩は硬直した。

殴る手は寸でで止まり、先輩はそっと左手を降ろした。

それを見た俺は、そのまま先輩の脇を通り過ぎ、ゆっくりとドアへ向かった。


「バイバイ…先輩。」


…あの時、俺が先輩を愛さないと言った時。

その時の仁王先輩の顔が、昔のように寂しく笑っていたから…。








だから








だから
俺は









そのまま

そっと









別れを告げた。










…そして、パタンッと言う小さな音と共に、俺はそっと姿を消した。





「………。」


その後、部室に一人取り残された仁王は、思わずその場に座り込んだ。


「…は……はは…。っバカか、俺はっ。」


不意に仁王の眼から涙がこぼれ落ちた。


「っく、そ……くっ、そっぅ…っ。」








どうして?








只好きだって








伝えたかっただけなのに…









お前が








ほしくて






ほしくて









ほしくて…








只、
お前に








愛して
ほしくて――…








その後、そこに仁王の姿はなく、只鮮血が床を赤く染めていたと言う。


(END)


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