狂詩曲ラプソディー


俺は常に束縛されて生きてきた。
親に縛られ、世間に縛れ、自らのプライドに縛れて…。
常に「頂点」の箱庭にいると言うのは疲れるもので。
何人たりとも負けることを許されない。
…そろそろ肩の荷も重さを感じ始めた頃、俺の前にお前が現れた。
お前は身も心もボロボロになった俺を優しく、優しく癒してくれた。
…美しい。
お前のその優しさに後押しされ、俺はお前に惚れ込んだ。
お前のためなら何でも出来る。
…お前が望むなら、この命、自ら断とう。
お前のために備わった権力を使い、お前のために邪魔者を排除する。
これが俺のお前に対する「愛情」。
この行いが酷いほどお前への愛は深く、この行いが惨いほどお前への恋心は熱く燃え上がる。
…今やお前は俺だけのもの。
誰にも触れさせはしない。
…これが、「愛」なのか?
お前を束縛することが?
…いや、違う。
こんなのは愛じゃない。
これじゃあ昔の俺と同じじゃないか。
俺はアイツに、俺と同じ道を歩ませたかったのか?
俺は今までアイツに鬼畜な行いをしてきたのか?
…最低だ。
俺は自ら大切な人を、奈落の底へと突き落としていたのか…。
何故、何故あの時気づかなかった?
何故…。
俺は自ら自分の首を締めてしまっていたのか。
自分の首だけではなく、大切な人の首まで…。
自由がほしい。
アイツも昔の俺みたいにこんなことを思っているのだろうか?
ならば、今解放してやる。
「俺」という苦しみから逃れ、羽ばたいて、そして…もう二度と、俺の前に戻ってくるな。
戻って来ないでくれっ。
もし戻って来てしまったら、また俺はお前を束縛してしまう!
…もう逢えない。
これがお前の幸せでもあるのだから…。
さぁ、今飛び立ち給え。
狂詩曲じゆうの果て、目掛けて…。

(END)





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