投げられた采


逢いたい。
この気持ちを押し殺すことなどもう不可能だ。
後戻りなんて出来ない。
俺は只々欲望に身を任せ、只日田すら走るのみ。
…逢いたい。
お前に逢って、もう一度伝えたい。
俺の気持ちを伝えたいっ。
伝えたいのに伝わらない。
伝えたくとも伝えられない。
…時が、遅すぎた。
もう、俺の手の届く所にお前は居ない。
探しても見つからない。
もう、お前は何処にも居ない…。
後悔が押し寄せる。
どうしてもっとお前を慰めてやらなかった?
どうしてもっとお前を抱きしめてやらなかった?
どうしてもっと、お前に愛をやらなかった?
…もう、後悔しても遅いと言うのに、何故こんな事しか頭にない。
何故こんな事しか頭に残らないっ。
もっと別の何かがあるはずなのに、何故、何も出てこない?
…暫く経って、やっと出てきたその言葉。
…愛してる。
それは一番、お前に伝えたかった言葉で。
でも、もう伝わらなくて。
何度願っても伝わらなくて。
伝え、らなくてっ…。
思わず瞼の裏が熱くなる。
お前を想って熱くなる。
お前が愛しく熱くなる。
お前に逢いに行きたくて、
とてもとても熱くなる…。
いっそ、泣いてしまえたら。
きっと気が晴れ、楽になる。
…最後に、お前を想って泣いてもいいか?
…こうして俺は、お前のために、涙することを決意する。

(END)







back

【お買い物なら楽天市場!】 【話題の商品がなんでも揃う!】 【無料掲示板&ブログ】 【レンタルサーバー】
【AT-LINK 専用サーバ・サービス】 【ディックの30日間無利息キャッシング】 【1日5分の英会話】