あなたを手にいれたくなってしまった。

知っている。あなたには好きな人がいることを…。
でも、それでも僕はあなたが欲しいです。

あなたは今日、その人に告白すると僕に訃げた。
その報告は、僕の心を酷く傷付けた。

あなたは知らないから。
僕のこの気持ちを…。
だから、平気でそんな言葉が言えたんだ。

あなたはその報告をすると、さっそくという感じで荷物をまとめ始める。
そして僕はその場で立ち尽くす。

もし、僕があなたに対してこのような感情を持っていなかったら「がんばって。」っと一言、励ましの言葉を掛けられるのに…。
じゃあ、その報告を受けた側の者がそれに対してあまりいい思いをしないものだったらどうする?
きっとなにも言葉がみつからず、なにも話すことができなくなるだろう。
今の僕のように…。
中には、反論する者もいるかもしれないが。

そして、身支度を終えたあなたはその人が待っているという場所に行こうとする。
胸の痛みはさらにズキズキと僕の心を突き刺す

(行かないで)

心の中で呟いた。あなたには当然届かない。

「行かないで…。」

今にも消えてしまいそうな声で今度は声に出していた。
      
その声に気が付いたのか、あなたは僕の方を見た。

「何か言ったか?」

どうやら、言葉は聞き取れなかったらしいが声は聞こえていたらしい。

そして、僕はさっき言えたセリフから思いが加速をつけて、言葉になっていった。

「行かないでよ…。」
「どうしてだよ?」
「だって俺、あんたのことが…好きだから。」

言ってしまった。後悔などしていない。
むしろ、あなたが他人に取られてしまう前にこの言葉を言ってしまったほうがいいのかもしれないから。
だから言った。

「!?」

その言葉を聞いたあなたは、始めこそは目を見開いて驚いたような表情をしていたが、その表情はすぐに消えた。
そして一言「ごめん。」とだけを言い返した。

分かっていたはずの言葉。
分かっていたからあまりダメージはなかった。
でも胸の奥が痛い。
それはまだ、僕があなたのこと諦めていないから。

「うん。知ってた。」
「だよな…。ごめん。俺、お前がそんな風に思っていてくれたなんて知らずにあんなこと…。」
「いいっスよ、別に。」

過ぎたことは今更後悔したって遅いしね。
おまけに、僕はまだ諦めていないよ。
あなたのこと。
だから、落ち込んでなんかいない。
だって、あなたを手にいれるチャンスなんていくらでもあるから。

「じゃあさ。もしあんたが海堂先輩に振られたら俺と付き合ってくれる?」
「考えとく。」     
あなたは微笑をした。
もしかして今の冗談?
なに、まさか振られないと思ってるわけ?
なんだよその自信。
ムカツクな。
僕もつられて微笑した。

「桃先輩。俺はいつでも待ってるっスよ!」
「はんっ!言ってろ。じゃあな、越前。」

そして、あなたは僕の前から姿を消した。

はたして、僕はあなたを手にいれることができるのか…?

あけみさんは根っから桃海の人です。
だけど私が桃リョ好きなの知ってるから・・・。


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