夢幻想曲 〜fantasy music〜



彼がサイパーハイパーを訊ねて来たとこからこの話しは始まった、と言っても過言ではないだろう。

彼は、やって来た。
運命の歯車を回す為に…。


prelude

「ソルヴァ・デュランテって人…いますか?」
平和が続いていたサイパーハイパーへの訊ね人。
門番は珍しい格好の旅人に不信気な視線を送る。

「いることはいるけど…キミ…名前は?」
若い門番は名前を聞き、ソルヴァを呼び寄せることにしたらしい。
珍しいことだ。

ソルヴァ・デュランテという噛みそうな名前の奴は、この城では、サイパーハイパー城では一目置かれる存在なのだ。
悪魔族の末代。
彼の魔力は相当なもの。
流れ出る血の様な紅(くれない)の髪に、忌まわしき金の瞳。
射貫く様な視線。
だけど、容姿端麗。
片方しかない、黒き翼。
城主は、趣味で、彼を城に置いているらしい…。
そんな存在だ。

「イノセント。ルラッカーでの友人です」
「わかった。呼んで来よう」
門番はマントを翻し、走り去って行く。

訊ね人・イノセント。
陽を浴びて輝く金の長髪に、色素の薄い瞳。
そんな外見に不自然な布地の薄い浴衣。
しかも裾が短いのだ。
さらに、白い天使の羽が生えている。
ソルヴァと同じく作り物では無い、ホントの羽。
目立つ存在であろう。

やがて、再び門が開く。
出て来た紅の頭。
「ソルヴァ〜久しぶりっ」
イノセントはムカツク程の可愛い笑みを見せ、軽く左手を上げて挨拶をしたのだ。

何か…波瀾の予感…。


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